両面性の発見

言葉って面白いだろ。

両面性の発見—語り部アンリア語りき

 始源の巨人が死ぬ時、右足からは幸運と交流の神チャ・ザが生まれ出で、そして足先からはスマーシュが生まれた。チャ・ザの行く所、何処でもスマーシュは付いて回った。チャ・ザのすること、何でもスマーシュは真似して歩いた。

 ある時芸術の神ヴェーナーが世界を創る歌の創作に疲れていた。チャ・ザは少し休むよう勧めた。ヴェーナーはそうした。やがて、狂気の神がヴェーナーを誑かそうとしたが、既に充分休んでいたこの芸術の神は、その力を跳ね除けることができた。こうしてチャ・ザは、ヴェーナーに幸運を授けたのである。

 そのやり方を学んだスマーシュも、やはりヴェーナーに休憩を勧めた。スマーシュがチャ・ザの従者であることを知っていたヴェーナーは、疲れてはいなかったがスマーシュに従った。名もなき狂気の神は再びヴェーナーに忍び寄り、寝ているのをいいことに狂気を拭き掛けた。芸術の神は狂気に冒された。

 ヴェーナーの不幸を見たスマーシュは、自分の行いの失敗を学んだ。チャ・ザは休憩を勧めて幸運を与え、スマーシュは休憩を勧めて不幸を与えたのである。スマーシュは言葉の二面性を発見した。

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