双面の部族の概観

おいキッカ、お前に客人だぞ。何でも“監視者”の部族のもんを探しているんだと。

双面の部族とは—孤高の部族の旅人キッカの話

 双面の部族のこと? そんなの本人達に聞けばいいのに……。いいわ、教えてあげる。あたしなら、本人達が気付いていないことも、見えちゃっているかもしれないしね。ふふふ。

 まず、双面の民ってのが“双尾の狐”スマーシュに仕える人達ってのはいいでしょ? だからみんな、「双面の民は嘘吐きばかりだ」なんて言うわけ。まあ、これには昔の話しもしなくちゃならないんだけど……。ちょっと勘弁して。お願い。だって、まだ充分見定められてはいないんだもの。とにかく、双面の部族が他の部族からあんまり信用されてないのは確かね。おっと、こんなこと彼等の前では言わないでよ? 自覚はあるみたいだけどさ。

 そうね、大体みんな、このくらいの認識しか持ってないんじゃないかしら。勿論、あたしは別だよ? それから集落に帰ってこの話をすれば、あたしの部族も。獣の牙じゃ知りたいことがあると、皆すぐ悟りの民の所に行っちゃうけど、あたし達の方が適切だって! これからの時代なら尚更ね。まあ、いいけど。そう言えば、獣の牙も双面の部族が作ったんだよ。何しろほら、双面の部族がいる所って、すぐ隣がベルディアじゃない? それに彼等、あんまり戦い得意じゃないしさ。それで方々回って助けを集めたんだって。その時こそ、双面の民ならではの言葉巧みさが発揮されたんだろうねえ。でも、最初の砦三つは、他ならぬ彼等の裏切りで潰滅したんだけど……。あっ、いけない。これは言わないんだった。さっきも言った通り、その辺は分からないことが多過ぎるから、さ。

 尾の狐スマーシュは、黄金色の体毛に二本の尻尾を持つ狐の姿をした神獣で、両面性、商業、虚偽を守護対象としています。クリスタニアの共通語を広めたのもこの神獣だと言われています。その従者である双面の部族はイスカリア北西部の草原に住んでいます。言葉を巧みに操ることで有名で、『クリスタニアRPG』では「商人や詐欺師になるべくして生まれてきたような民」と説明されるほどです。過去に神獣の民を裏切ってベルディア帝国に寝返ったことがあり、今でも他の部族の者からは信用され難いようです。RPGではこの辺りをどう活かすかが腕の見せ所となるでしょう。勿論、小説や漫画に登場させる場合も。

 ちなみにキッカの属する孤高の部族は、クリスタニアの秩序の監視を使命付けられた部族で、白頭の大鷲フォルティノに仕えています。

 え、と、そうだ、他には商業って言うか……あちこち歩いて行って物を交換するのも、双面の民だよね。え、見たことない? うーん、そうか。あたし、獣の牙にいたこともあってさ。あそこで武器は欠かせないもんだから、双面の交易商は重宝していたよ。交易は凄いいいことだと思う。だって今、クリスタニア中大変でしょ。周期が無くなって、混沌が解放されて、妖魔も沢山出て来たし……。色んな所で色んな新しい物が、必要になってる。あたし、この通り旅してるから分かるんだけど、それって他の部族じゃあ、結構多くあったりするんだよね。勿論余ってるってわけじゃないんだけど——そんなの獣の牙でしか見たこと無い——ちょっとくらいなら無くても、すぐに何とかできるんだ。だからそれが、必要だけど持っていない集落なんかに持って行ってもらえると、助かるの。これからもどんどんやってほしいと思う。

 そうねえ、今話せるのはこんなところかな。本当はもっと色々考えてるんだけど、ほら、部族の教えではっきりしたことしか言えないわけよ。分かるでしょ? だからあたしの話はお終い。貴方達も、何か気が付いたことあったら教えてよ。部族に持って帰るからさ。それじゃね。

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