スマーシュ、狐を選ぶ

俺達は一人でも生きていけるんだ。

スマーシュ、自らの姿として狐を選ぶ—ロウナ翁語りき

 フェネス率いる中立神、南の大地に至る時、長たるフェネスはこう言った。「各々獣の姿を取りて竜王の目を欺くべし」。バルバスは虎の姿を取り、ブルーザは猪を、ルーミスは蛇の姿を選んでいった。獣はどれも神の力を受け止め切れず、その姿を一部変じた。

 フェネスは月に映える金色の毛並みを見て狐を選んだ。「夜、我が目の中で暮らす狐こそ相応しい」。スマーシュそれを咎めて言う。「狐は子を捨てます。長たる貴方はそうなってはいけない。狐の姿はわたしが頂き、その一人で生きる強さを民に授けましょう。フェネスよ、貴方は家族を大切にする狼を選ぶがいい」。

 こうしてスマーシュは狐を選び、フェネスは狼を選んだ。目の寂しいフェネスは眷族を光照り返す銀色にした。更にフェネスは、優位を示すべく狐の毛艶を赤く鈍らせたが、スマーシュの寵愛厚き二千の狐はこれを免れ、今でも美しい黄金色の毛を保っている。これがスマーシュの眷族の始まりである。

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